隣国同士が戦に明け暮れ、妖怪や化け物まで跋扈する昨今。

この大陸では山奥に山賊が出るのなんて、全く珍しくない。


この場合、珍しいのはむしろこのご時世に無防備にも一人旅をしていたこの女のほうだろう。

山賊たちからしてみればまさに恰好の餌食を与えられたも同然で──


「おい、お頭をおいて先に手ェ出して良いのかよ」

「ああ──構わねえだろ。俺たちに犯されて失意の女を慰めて落とすってのが、お頭のお気に入りだ」

理性の飛んだ顔で胸を揉みしだきながら、山賊たちは女の着物の裾を捲し上げる。

「いやっ……お願い、やめて! やめて下さい!」

女は恐怖のためか抵抗らしい抵抗も見せず、切なげな喘ぎ声を上げながらされるがままになっていたが、
この時ばかりは涙を浮かべて懇願した。

しかし当然そんな願いが受け入れられるはずもなく、
顕わになった白い太股の付け根に男の手が伸び──


そんな仲間の横では、女の細腕から奪い取った荷物を、別の男たちが検分していた。

「チィッ……やっぱり女の一人旅じゃあ、大した金も持ってねえな」

「──お? こっちの包みは刀か?」

「へえ、こいつは売れば金になりそうな……」





よくある構図、

ありふれた光景だ。


こういった場合、ヒロインのピンチを救うヒーローが登場するのは読み物やお芝居の世界だけで、現実には往々にして助けなど現れない。



──が、