彼が。

わたしに『一生』を考えさせた彼が。


別れ際に言ったのだ。



◆◆◆



「俺は、お前はもっと
 違うと思ってた」


秋のある日、いつものように
一緒に下校してた時、唐突に
言われた言葉。



「…え?」


「……俺が悪かったんだ
 ……………ごめん…」



意味がわからなくて。
ただ、今日は口数が少ないな、くらいにしか思わなくて。

なんの前触れも無しに。

これは、何?



「どういう、意味?」



この先の言葉が怖くて、声が震えた。

わかってるのにどうして聞くんだろう。本人の口から聞くよりも、頭の中で自己完結した方がどれだけ楽かわかるのに。



「……俺ら、
 付き合わない方が
 よかったんじゃないかな」



予想もしていなかった言葉。
わたしの頭の中にあったのは、『別れ』のパターンだけだったから。