あたしは玄関をガラッと開けて、大声で叫んだ。 なるべく優しく、叫んだ。 「兄さんいるぅ?」 「檸檬!おかえりー!」 ニコニコスマイルで出てきたのは爽くんだった。 「爽くん、静くんは?」 「ん?部屋だよ。」 「そう。…………ねぇ、隆兄は?」 あたしの問いかけに爽くんの肩がビクッとなった。 ─わかりやすいヤツ。 核心を突かれると爽くんは何時も肩がビクッとなる。 爽くんの笑顔が、無理な引きつり笑いに変わった。 ─────☆