団☆乱ラン







あたしは、呆然と近づく唇を凝視した。



思考は止まっていた。


近づく唇があたしを誘っている気がした。



だって、松宮先生はスゴく綺麗で……甘い声で……優しい笑顔で……



さっきまで慌てていた自分が馬鹿馬鹿しいくらい

あたしは、その一言に堕ちていた。


“僕の、美少女、檸檬”あたしを狂わせる呪文。


─もういいや。


さっきとは違う意味の覚悟を決めたとき──











バンッッ!!

「檸檬ちゃんッ!!」



「二ノ宮くん……。」



ああ、やっぱり王子様だ。


このタイミング。



勢いよく開けたドアの前に立っていたのは

“王子様二ノ宮くん”で。



あたしは、自分が今あられもない姿でいることも忘れて、目に映る二ノ宮くんをうっとりと見つめていた。