あたしの声は、松宮先生を恍惚の海へ漂わせるには十分すぎる声だった─みたいで……。
掴まれた腕を引き寄せられた。
とっさの事にあたしは、なすがままで…
なぜ?どうして?こんなことになってるの?
頭は混乱するばかり…
なのに─
更に、あたしをギュッと抱きしめてくる。
顔面蒼白、血の気が引く…この状況が理解出来ない。
「これは、運命何だよ。カイラのお姫様……」
………。
「僕はね、美少年を愛する美少女の君を愛することで、この棘(イバラ)のような痛みから、解放されることは無いんだよ……」
「ああッ!この甘美な痛みが君にわかるだろうか…。」
………。
抱きしめる腕に力を込めて、あたしの耳元で 囁くように話す松宮先生。


