団☆乱ラン




「やっと二人きりになれたね?」


ドアが閉まったとたん、松宮先生があたしを目を細めて見てきた。


「あ、あ、あの─それ以上よらないでくださいっ!近寄ったら……」


「寄ったら?なに?」


「叫びますっ!」


松宮先生は、はあっと息を吐くと


「カイラに又、邪魔されたくないから、仕方ないな。」


肩をすくめて、はぁと又息を吐いた。


「…………。」


あたしはすこし、後悔し始めていた。


─やっぱり、二ノ宮くん…いてもよかったかも…。


自分のちっぽけな羞恥心のおかげで自ら、虎の穴に入っていった、うさぎにでもなった気分だ。


だけど


“虎穴に入らずんば虎児を得ず”って言うじゃない?


何を考えているのか全く分からない松宮先生だけど……。





あたしは覚悟を決めた。

「松宮先生。二人っきりにならないと、出来ない話って何ですか?」


ホントに肝が据わると、あたしってスゴいと思う。


すらすらって、そんな風に言葉が出てくるんだから、自分でもびっくりする。


「ああ、そうだね。」


ニヤリと笑う松宮先生。


あたしは、ブルッと身震いした。