「まあまあ、落ち着いて、カイラ?」
松宮先生は二ノ宮くんの言葉なんて全く気にしていない様子でニッコリ笑ってくる。
そんな松宮先生に二ノ宮くんは呆れ顔で、はぁ…ってため息を漏らした。
…………。
「檸檬ちゃん?」
「は、はい。」
松宮先生に呼ばれてどもってしまう。
あたしを不思議そうに見つめる二ノ宮くん。
その目も、素敵すぎて、こんな時なのに、トキメイテいるあたしは本当にバカだ……。
「ぼくね、あの時、気づいてたんだよ?」
……。
悪戯っぽく笑う松宮先生─あたしは、膝においた手をギュッと握った。
手に汗を握る緊張感。
もう、いっそのことサッサとバラして欲しい。
ドキドキし過ぎで心臓が持たないよ……。
「女性化粧室から、コッチを覗き見していた子がいたのをね。」
……うっ…来たっ!
「だからね、ちょっとサービスしてみたんだけど…」
「サ、サービス?」
聞かなきゃいいのに、聞いてしまった。
あたしって、なんてばかなんだろう…。
「そ、“アドニス”ってやつ。……聞こえるように言ったから、ね?」
うっ!…………又撃ち抜かれたよ。
ドドドドドド……の心臓を押さえながら……
あの時なんで野次馬根性に負けたんだろうと
あたしは猛烈に後悔していた。


