あまりのショツクに、現実から、目を背けてしまっていた。
「あんたね、逃避行してんじゃないわよ?─ちょ、檸檬?…あたしのほっぺたギュッてひねってみて?」
「ええっ!……な、何でよ?直ぐ隣に隆兄いるじゃん?…って、母さん!何であたしの後ろに立ってんの!?」
─い、いつの間に─。
あたしは、隣に座る隆兄をチラリと見た。
「あ………。」
隆兄の目は、どこかに行っていた。ヤバいくらい死んだ魚の目だった。
「役立たずなのよ?…あんたは叩いたら、起きたけど、コイツは──…見たら、わかるでしょ?そんなコトより、ほら!早く!」
早く!って、頬をあたしに近づける母さん。
………ううぅ。
「─…絶対!後で怒んないでよ?」
うんうんと頷く母さんのほっぺたを、恐る恐る指で摘んであたしは─ギュッてひねった。
「痛たたたたっ!!」
「ひょつほ!ひぇほん!ひょうひひっけ!!」
「あ、ごめん。」
つい、力が入ってしまった……ヤバい──。
怒られる?……ビビりながらあたしは母さんをコソッと見た。
!?
ワナワナと俯きながら、震える母さん。
お、お怒ってるじゃん!怒らないって言ったくせに……言ったそばから──。
─後悔先にたたず……鬼のほっぺたをひねったあたしはどんな罰を受けるんだろう。
考えたくもなかった。


