だけど笑っていたから、きっと勘違いだろうと思い、あたしもつられて笑う。
思い出してくれた…隆起くんも昔、あたしの事鈴ちゃんって言ってたもんね。
「それでね!あたし鉄棒が苦手で、泣きそうになってた時に飯田くんが助けてくれたんだよっ」
「へぇ?覚えてねぇ…」
やっぱりそこまでは記憶にないかぁ…
少しガックリきたけど、当たり前か。
あたしはスカートについた砂をはらうと、その場で立ち上がった。
「あたしは覚えてるよっ、あたしにピースしてくれたんだよ?あれですごく助かったんだから…」
ニコッと笑うと、あたしは砂浜をゆっくり歩いた。
隆起くんは『そっか』と素っ気無い返事。
好きでもないのに…何だか苦しいよ。
ずっと会いたいと思ってた人に、思い出してくれたと思ったら大事な事を忘れちゃったんだね。
でも仕方ないのかな?
あたしが記憶力がいいだけなのかも…
