空想リフレクション

唇を少し突き出して、少ない口数で2人は歩く。


並木通りの真ん中あたり。


「…あーあ、フラレちゃった!」


茜色の空を見上げる。その眼差しは空の色。


「…まだ好きなんだろ?」

「もう告白してフラレたんだよ。だから、おしまいっ」


イの段の発音で終わるとき、その表情に余韻が残る。


「…お前ってなんでもそうなんだな」

「…何が?」

「…言葉で境界線を決めるんだなって」



ひやりとした風が、二の腕の横をすり抜ける。



「…もう秋だな」


空色の眼差しは、少し遠くの方を見ていた。


「…涼しくなってきたもんね」


移り変わっていく空の色。

その境界線を眺めていた。



移り変わっていく空の色。