「俺ね・・・・ホントは弁護士になりたいわけじゃないんだ・・・・」
「え・・・・?」
「ただ、勇気がないだけなのかも・・・うん。勇気がないだけ」
恭二は自分の言った言葉に、うなづくようにウンウンと小さく頭を振った。
勇気?
「俺ん家さ、じいちゃんが弁護士、親父が検事やっててさ・・・・俺・・・それがすげー重かったんだ・・・なんか・・・小さい頃から全部決まってるのって・・・不安だけだよ」
あ・・・・・
なんとなく、わかるかも・・・・。
あたしの頭の中に浮かんだのは、パパの背中だった。
そして、ジョーの怒った顔・・・・・。
けど、その感情をどう言葉にしていいのかわからなくて、あたしは口をつぐむしかなかった。

