ダメ。
涙、見せられない。
だって、そうしたら、きっともっとジョーは困っちゃうよ。
そんな奴だもん。
・・・・っ!
ザクザクと砂利を踏み出す音に、あたしはとっさに身をすくめた。
それはゆっくり、けれど確実にあたしに近づいてきて。
あたしは、それでも目を上げる勇気もなくて、ただ、自分のブーツの先を見つめたまま涙をこらえていた。
「まつり・・・・」
聞きなれた自分の名前に・・・・その声に。
正直者のあたしの胸ははじめドクンと波打って、それから暖かくトクントクンと耳元で速さを増していく。
あたし・・・ホントにジョーが好きなんだ。
ジョーがあたしを呼ぶその声が、好きなんだ。

