「送ってく?、って・・・そんなこと今さら言えないか」 「ううん。ありがとう・・・でも、あたし自分で行く」 「そっか」 そうして、ふっ、と息をついた恭二は、ドアの下でもう一度笑ってくれたんだ。 「メリークリスマス!」 「・・うん。メリークリスマス」 そうつぶやき、恭二に小さく頭を下げてからあたしは走り出す。 クリスマスの街の中を。 恋焦がれてた夢みるようなシチュエーションの中を。 元の自分の世界に向かって、走り出すんだ。 一番大事なものへ。 最高に大切なものへ。