おまつりBoyと夢みるGirl


バッグを手にして出口のドアに近づいた時、後ろから聞こえた足音はあたしの後ろで止まった。



揺れる香りにあたしはそれが誰だかすぐに気がつく。



あたしの初恋の香りだ。



甘くて、少し苦いような、香り。



「恭二・・・」



恭二はやわらかい表情で、あたしの頭をぽんぽんとたたいて、言葉を出した。




「まつりちゃんさ、この前言ってただろ?自分の気持ちに正直になれれば一番いいのに、って。俺もやっぱりそう思う。
すげー単純なことだけど、いつのまにかごまかすことばっかりしてた、って気づかせてくれたんだ。
まつりちゃんは、違う、って言ってたけど、俺はやっぱりそう思うよ。そう思う」



「うん」