「昨日、大変だったみたいですよ。私も家に帰ってからびっくりしました。まさか、ジョー先輩がそんなことになってるなんてしらなかったから…なんとか大丈夫だったらしいんですけど…」
やっぱり……思ったより大変、だったんだ。
「まつりさんは、N大の彼氏がいるくせに…なんでそんなことになるんですか?なんでジョー先輩がそんな風にならなきゃいけないんですか?」
彼女の表情にもうやわらかい笑顔なんてなくて、じっ、と見上げられたその視線の先であたしはただうなだれることしかできない。
「違う、って言ってじゃない。あんたにそんなこと言われる筋合い、ってないと思うけど?」
かなりいらいらしたような調子でエミが詰め寄ると、ようやく彼女はニコッ、と笑顔を取り戻した。
「だって、私ジョー先輩のことが好きですから。当然だと思うし。ジョー先輩が大学でしたいこと、続けられるために私が父にお願いすることも、当たり前のことだと思いますから……だから、まつりさんが中途半端にジョー先輩の周りにいられるとイライラするんですよね、正直」
「ちょっ、なにその言い方」
エミが少し詰め寄ったのをあたしはようやくのところでとめる。
「エミ……いいよ」

