「あっぶねーだろ!
足に当たったらどうするつもりだったんだよ!」
俺は精一杯顔をしかめた。
「当たらないよ…ちゃんと狙ってるから」
「……は?」
狙ってる…?
「最初から…当てるつもりなんかないってのか?」
「麻生くんが避けたりしなければね」
ニコリと笑う美空。
背筋が震えた。
「早く立ってよ。
次はちゃんと投げるからさ」
「……」
美空の言葉に俺は無言で立つ。
土をはらった。
くそ…っ
キッとマウンドにいるあいつを睨みつける。
野球バカにしてんのはお前だろ…
もう一度、体を伸ばしてバットを構える。
マウンドの空気が変わった。
――…!
美空から放たれたボールは、俺のバットをかすることなくミットに入る。
「……え?」
なんで…捕らえたと思ったのに…
「…お前に美空の球は打てないよ」
頭上からする声…
上杉だった。
「言ったろ…?
あいつは本物なんだって」

