エースナンバー



―――!



驚いたのはその球速にじゃない…


そいつの指先に、だ。



くるくると、細い指を軸に回るボール…




バスケットボールのように器用に回るそれは、なかなか落ちない。




「よかったら、俺のボール…受けてみる?」

ニコリと人懐っこい笑みで美空が尋ねた。






  □




で…なぜかこんな状況にいるわけだ…




「…よろしく」

「……」


バッターボックスに入る。



キャッチャーからの返事はない。



なんでこんなことに…



俺は小さくため息を付いた。


「いいから、やれ!」
「美空先輩に逆らうと後が怖いよ?クスクス」
「怒らせたことをあの世で後悔するんだね」
「お前が野球バカにするからだよ…バーカ。知ーらね」


血も涙もない部員たち…



一体、美空ってどんな存在だよ…


さっきまではバカみたいにニコニコしてたのに…


今はマウンドでロージンバックを手で弾いている。