微かに唇が動いて、
小さな声が聞こえた。



「…あ…き…と」



「わかるのか!?俺のこと!」


コクリ。

ゆっくり樹音が頷いた。



「良かった!頭を打ってるから…俺みたいに記憶無くしてたら…って」


そう話す彰人は涙ぐんでいた。


「本当に良かった!」



彰人を見つめながら、樹音は微笑んだ。