愛の手


――…


あたしは体がかたまってます。

なんでかって?

それは総司さんへの恐怖心からじゃなくて……



「風呂、先に使え」

「い、イイですよ!! 総司さんが使ってください!!」

「あのな、女が遠慮するな」



ひー……っ!!


あたしたちはいま、お風呂も入れて、テレビも見れて……

さらに冷暖房完備されてて、ベッドもある万能なところにきてます。


なんでココをチョイスしたのか、あたしには理解不能です。

カラフルな室内にベッドの壁ぎわに鏡。

初めての風景にあたしの心臓はバクバクいっている。



「おら、いけ」

「ひやぁっ!!」

お風呂場にムリヤリ押しこまれ、あたしはバランスを崩して床に突っ伏した。

扉の閉まる音がむなしく響いて、あたしは肩の力を抜いた。