愛の手


「周防さん、って……どうなったんですか?」


組員の人に聞いても、みんな曖昧に笑って答えてくれなかった。

悪魔だけど、若様ならなんでも知ってるだろうし。


「どうもしない。ただ謹慎にしてる」

「そう、ですか」

あたしはほっと肩の力を抜いた。


ヤクザの心配なんて、って自分で思うけど…

やっぱり自分がされたイヤなことは見て見ぬフリは出来ない。



怖いのに、気にかけてしまう自分がバカだ。


「あ、あの……」

「なんだ」

やっぱり律儀に返事をしてくれる総司さん。

その反応がちょっと安心させて、あたしは覚悟を決めてツバを飲んだ。





「どうしてあたしなんかを八千万で買ったんですか?」