愛の手


礼央はあたしの机の上に座りながら、ニカッとなにやら企みのありそうな笑顔を向けた。

「……なによ」

「新しい家、どんな感じなの!?」



面倒なことになりたくなくて、仲のイイ礼央にすら話してない。

詳しく話してないから、ただ引きとられただけと思ってるみたい。




「普通だよ」

実際は普通からかけ離れてるけどね。

礼央は眉にシワをよせた。



「毎日送迎つきが普通かぁ? どんな豪華な暮らししてんだよ。今度遊びいってイイ?」

「だ、ダメに決まってんでしょ!!」



ヤクザの巣窟だよ!?

そんな中に友達を入れるほど、あたしは非情じゃないよ。