――…キィィーーーッ
「着きましたよ」
いいながら祐輔さんは外に出ると、後部座席のドアを開けてくれた。
はたから見たら、本当にお嬢に見られるんだろうなぁ。
「なにアイツ」
「うっわ、かかわりたくねぇー」
ザワザワと噂する声は、送迎初日からいまだにやまない。
見世物にされてるみたいで、すごく不快な気持ちになった。
送迎初日なんて、なにも知らない祐輔さんが腰を直角九十度に曲げて盛大に見送ってくれた。
おかげであたしは、即座に生徒指導室行き。
なんとかごまかして切り抜けて帰ったあたし。
さすがにやらないで!!って、帰ってから必死になって説得した。
その苦労あって、ようやくヒラヒラと手をふって見送る程度にはなったんだけど……
(やっぱサングラスにスーツにオールバックは目立つよね)
見送る祐輔さんを背にしながら、ひっそりとため息をついた。

