愛の手


あたしはもそもそとご飯を口に運んだ。

隣には少し不機嫌そうな悪魔が、鮭をほぐしている。


黙って静かにそこにいれば、モデルみたいにカッコイイ。

鮭をほぐしてる姿ですら、絵になりそうなくらいだ。



――…これが浅葱組を率いる若組長だというのだから驚きだよね。




「なんだ」

「……いいえ、なんでもないデス」

ジロジロみすぎたせいか、あたしは総司さんと目があってしまい、気まずく目線を戻した。