愛の手


「おはよー、お嬢」

「お嬢、今日の朝餉はこの与一めがつくりやした」


「……おはようございます、康平さん、与一さん」

ここにきてかわったことがもう一つ。



あたしは舎弟の人々の名前を徐々に覚えつつあった。

かかわりたくなくても、彼らからよってくるため、名前を覚えざるを得なくなっていた。



無表情で口数の少ない仁(じん)さん。

若くて茶髪で、ちょっとチャラそうな康平(こうへい)さん。

料理上手で礼儀正しい年配の与一(よいち)さん。






そして――…

「おはようございます、愛理さん」

「祐輔さん……」