「殴らないから、大丈夫だ」 ウソつき。 さっき殴ったじゃない。 「愛理、こっち向け」 いやよ。 あたしを見ないで。 総司さんは殴った手で、あたしを優しく包む。 暴れるあたしを、抑えるように、優しく…… その優しい腕が、あったかい。 「悪かった」 低い声が耳に届くことなく、あたしは眠りについた。