愛の手


『……っぅ』

『目覚めたか、周防』

周防(すおう)と呼ばれた男は、殴られたらしい。

あたしの体は、自然と拒絶反応を示し始めた。




殴られる怖さ。

殴られたあとの痛み。




そして、喪失感――…






『わ、…かっ』

『俺の意見に指図するな。――お前は用済みだ』

『――っそ、そんなっ!!』


『康平』

『はっ』

『ま、待ってくださ…っ、若っ!!!』

悲痛な叫びが、暗い闇夜に響き渡った。


周防さんは、どうなってしまったのだろう。