愛の手


なにが起こってるのか理解出来ず、あたしはただ呆然と宙を見つめた。

包まれる腕は優しくて、あたたかい。


「いっ、やぁ…っ!!! 触らな…、で……っ」

あたしを傷つけた人。

あたしは抱きしめる胸から逃れたくて、何度も叩いた。


離して欲しくて、何度も強く殴る。

「離し、て…っ、あんたなんか……ダイキライっ!!」



キライ、キライ、キライ!!!

あたしから全てを奪った人。



「返せ…っ――…あたしの家を、あたしの居場所を…、返して、よぉ…っ!!!」


殴る手は、強く握りすぎて血がにじむ。

怒りで痛みを感じさせないせいで、何度も何度も離れたくて叩き続けた。


抱きしめる腕は、離すことなく強さを増した。