愛の手


礼央はポケットから紙切れ一枚をとり出すと、それをあたしに手渡した。


メモ帳の切れ端みたい。




中を開くと、なんとまぁ達筆な字で、

『次は正々堂々と迎えに行く』

と書かれていた。




「七代目は、愛理と家族になることは諦めてないけど、もう傷つけないって約束してくれたよ」

「ほんと?」

一週間絶食と引き換えに、傷つけないという約束をしたらしい。

ヤクザにとって、約束は絶対だ。

だからこの先心配しなくてもイイ、と礼央はいった。



まさか礼央にそんなコトが出来るなんて……


「オレ様を誰だと思ってんだよ」


「……万年ナンパヤロー」

「あ、いったな!? お前今度いっぱい奢らせるからな」

「ごめんなさい、ごめんなさぁーいっ」



すっかり元に戻ったあたしたちの関係。



「ぷっ……」

「あははははっっ」



あたしは、礼央ほど仲良しと呼べる人間を、知らないよ。

だから、元の関係に戻れてすごく嬉しいよ。



「これからもマブダチだね」

「……だな」


あたしたちは、誓いの握手を交わした。