愛の手


「わしには子がいないからな。お前が矢崎の名を継ぐ唯一の子孫だからだ」

「……あたしは矢崎の子ではありません。小原の子です」


あたしは小原 愛理だ。

つい最近知った、母親の実家なんて知らない。


「あたしの母は、すでにこの家から縁を切った身。その娘であるあたしもまた、この家には無縁です」


きっと、お母さんが望むこと。

お母さんはお父さんを愛して、この家を出たんだから。



七代目は、ニィッと口の端を吊り上げた。

「名を変えても、血筋はごまかされぬ」


お母さんと似てるといった、鋭い目。




それはあなたが――…


矢崎組があたしを地の底まで突き落としたヤツらだからよ。