愛の手


七代目はゆっくりと立ちあがると、あたしのそばまで歩みよった。

遠目でもガタイのイイ体は、近づくにつれてその大きさを増していく。


総司さんとは違った、いかにも暴力的な空気。



ゾクッ



「愛理といったか、小娘」

小娘、って言葉に、引っかかりを感じる。

あたしは少し戸惑いながら、首を縦にふった。


「こんな小娘のために、浅葱組のヤツらはバカだなぁ」



……なんだって?



「小娘一人守るために、体を張って組で守るとは。バカもイイところだ」


かかか、と大きく笑う七代目は、あたしの髪を乱暴に引っ張った。

「お前に手を出さないって約束をしろ、といってきたよ、浅葱の若君は」

総司さんが?

「そのかわり、そのときいた浅葱組全員に好きなだけ殴っていいという条件でな」

そういう、取り引きだったんだ……。

本当にバカだよ、あたしなんかのために。



「お前さえおとなしくしてりゃ、いまごろわしらの仲間になっていたんだからな」



「……どういうことよ」