愛の手


面識があるわけでも、知識があるわけでもない。



ただ、あたしにはわかる。

ヤクザ独特の空気。



あたしを殴ったヤクザなら、もっとわかる。

あの冷たい目を、忘れたことはなかったから。



七代目は、ほほう、とおもしろげにあたしを見た。

「その目、姉さんによく似てるな」

「……お、かぁ…さ……っ?」



「そうだ」


……やっぱり、この人は矢崎組だ。



不思議と、冷静に見れるあたしがいた。


恐怖を、通り越しちゃったのかもね。