愛の手


あたしの体は暴れたくても、ちっともいうことをきいてくれなかった。

少しでも力を入れれば、痛みが走るだけ。



どっしり座る男は、ニヤッと笑った。

「下がれ」

「はっ」

低い一言で、そこにいた男たちは一礼すると、部屋をあとにした。



残されたのは、自由のきかないあたしと、礼央と、十字傷の男。


「七代目、こちらが小原 愛理でございます」

口にしたのは、礼央だった。


「そのようだな」


七代目と呼ばれた男は、扇をぱらりと開いた。

寒いこの季節だというのに、扇で風を起こしてあおぎ始めた。



この男……

矢崎組の組長だ。