愛の手


――…


「おら、歩けよ!!」


「……く…っ」


乱暴に急かされながら、あたしは移動させられてる。

両腕はうしろで縛られて、覚束ない足でふらふらしながら一生懸命前へ向かう。


「遅ぇよ、このアマ!!!!」


――…ガツッ




イタイ。


殴られた背中に痛みが走る。




唯一味方に思える礼央も、知らん顔で前を歩いていた。




だからあたしは気づいたんだ。





礼央は、なにかを隠している、って。