愛の手


礼央がいつもの笑顔であたしを見た。


なのに、瞳の奥は冷たい。




「教えてやろっか?」

まるでゲームをたのしむ子供みたいに、無邪気な声。

その声に恐怖を覚える。




もしかして、あたし――…

疑問を投げかけたくても、あたしの口は動くことを許さない。


筋肉がかたまってしまったように、重さを増していく。





礼央は小首をかしげると、うしろにいた男に目線で合図した。


なにをするのかな。


ぼんやりした頭で、あたしはただ礼央を見つめた。