愛の手


あたしの目の前で足がピタリと止まった。



イタイ。

髪を乱暴につかまれ、起き上がるように促された。



引っ張ってるのは、――…礼央。





「おはよう、愛理」

いつも話すみたいに、軽い口調。


相反する態度が、恐怖心をあおった。




「ははは、なにが起きてるかわかんない、って顔してんな」


そりゃそうだよ。


あなた、誰?って思うくらい、礼央が違う人に見える。



なにが起きてるの、礼央。