愛の手


――…キーン、コーン、カーン、コーン


放課後になって、あたしは今日一日が夢見心地だったことに気づいた。

だって信じられないんだもん。



「愛理ちゃーん、また明日ね」

「今度執事さん、紹介してよぉ?」


ほら。

あたしが、普通の女の子みたいなことしてる。


「あと礼央クンもねっ」


礼央があとからつけ足されて、ちょっとだけふき出した。

いままで礼央クーン、とか騒いでたのに、一気に祐輔さんブームが到来だ。




「うん、また明日ね」


あたしはドキドキする胸に手をあてながら、教室をあとにした。