愛の手


「……どうしたんデスか?」

恐る恐る聞いた。

さっきまでのスピードに戻されるのはイヤだけど、突然落としたのは怖い。


なんか、あたしヘンなコトいった?





「怖いモノなら、ある」

「えっ」

あたしは聞き間違いかと思って、総司さんを見た。


悪魔なヤクザ様に怖いモノ?



ハンドルを握ったままの総司さんは、一瞬だけあたしを見た。


「愛理だ」

「……へ?」

「俺はお前を失うのが、どうしようもなく怖い」

「――っっ!!!」

まるで愛しいものを見るような、切ない顔。





不意打ちだよ…、そんな顔。