愛の手


あたしと総司さんは、結局ヤクザ屋敷に戻ることにした。

白いゼロクラウンはいつのまにかいなくなっていて、仕方なくフェラーリ様に乗った。



久々のフェラーリ様は、やっぱり馬力がすごくて……




「そ、そそそ、総司さんっ!!!! スピード落としてくださいぃぃぃーーーっっっ!!!!」

「怖がりだな」

そういう問題じゃナイでしょ!?って思うくらい速い。


法定速度をはるかに超してる。

「おまわりサンに捕まりますよ!!?」



牽制したつもりなのに、総司さんは

「上等」

って答えた。





自信たっぷりな台詞。

そういやあの大惨事のときも、余裕そうな表情だったっけ。



「……怖いモノ知らず」

思わず口にすると、総司さんは突然アクセルから足を離した。


しだいにゆっくりになる速度。


ようやく法定速度まで落ちたフェラーリ様は、おとなしい音で走った。