愛の手


へっ?

……若?



祐輔さんの視線の先を見た。

浜辺沿いに横づけされた、ド派手なフェラーリ様……?



あたしたちのそばには人影がいつのまにか近づいていた。

「そ、総司さんっ!!?」


そばにいたのは無表情にたたずむ悪魔なヤクザ、総司さんが立っていた。

ラフに着こなした洋服から、まだとれぬ包帯がチラッと顔をのぞかせた。


やっぱり、総司さんが一番重傷だったんだね。

それなのに重傷って気づかせなかったのは、トップとしての威厳を見せつけるため。


総司さんは目線でなにかを訴えると、了解したように祐輔さんがその場をあとにした。

「ちょっと、祐輔さんっ!! いっちゃうの!!?」




「愛理」

「……はい」

総司さんの低い声に、無条件に反応してしまうあたし。


最初のころより、怖い、って感覚はなくなってるけどね。


「きなさい」

当然のように手まねきをされた。


「はい」




ねぇ……

本当にあなたがやったんじゃないの?

あたしのこと、殴ったんじゃないの?




素直になって、イイの?