愛の手


「冷静になりましたか?」

「……イタイです」

「それなら私の話し、きけますね」


祐輔さんの話し?



あたしは小首をかしげた。

なにを話すというのだろう。



祐輔さんはまたタバコをとり出すと、火をつけた。

「愛理さんのご両親がお金を借りたのは、矢崎組です」

「やざき、ぐみ?」

肯定するようにうなずくと、内緒、というようにひとさし指を口の前に立てた。



「これ以上のことは、若に直接きいてみてください」


「……だってあたし、礼央の家にいかなきゃ」


総司さんのもとを離れたのは、あたしなんだから。


素直になれないあたしが、バカみたいだ。






「――…だそうですよ、若」