愛の手


「お嬢様じゃなくなったんだから、私も少し世間話でもしましょうかね」

「世間話?」

そんなのいつもしてるじゃん、って思ったのに、祐輔さんはニヤッと笑った。

ちょっとイジワルそうな顔が、意外に似合ってて驚いた。





「若はね、愛理さんを守るために引きとったんですよ」

「……借金でしょ?」

あたしが借金抱えてて、払えないってわかったから、殴って……




海の寒さもあるかもしれない。

思い出して、ブルッと体が震えた。





祐輔さんは少しだけ小首をかしげた。

「だいたいはそうですけど、ちょっと違いますよ」

「違うって?」







「愛理さんが抱えてた借金は、うちが貸したモノではありませんから」