胸の音がダイレクトに聴こえる。 トクンッ トクンッ あれ? ――…総司さんの心臓の音が、あたしの音と重なる。 通常より速い鼓動。 いつからあたしはこの胸で落ち着くようになったのだろう。 触らないで欲しいと思いながらも、優しい総司さんに甘えていた子供なあたし。 ヤクザで、人を傷つける、怖い人なはずなのに――… 「浅葱の家から、離れるか」 「……え……っ」 そう告げた総司さんの声が、少しだけ震えていた。