愛の手


「引きとられたさきがヤクザ――…浅葱組って噂は本当だったんだな」


ビクッ


あたしの肩が大きく揺れた。

ヤクザに引きとられたくてそうなったワケじゃないのに。

事情を知らない礼央は、ようやくあたしのほうを向いた。



――…んだけど……


「ひゃっ!!
――…なによ!!!」


引きよせるように抱かれた肩。

礼央の胸元に押しつけられると、再び礼央は前を見据えた。

「あんた…
ヤクザって職種が一般的にどんなかわかってて、愛理を引きとったのかよ」

総司さんに向けられた言葉が、心臓を高鳴らせた。

恐怖よりも、緊張がココロを支配した。



総司さんは口を開こうとしなかった。

その行動が肯定を意味していた。