愛の手


「あ、あたしのバッグ……っ」

差し出されたのは、見慣れたぬいぐるみのついた紺色のサブバッグ。

バッグをとりに教室へよらなかったあたしは、明日でもいっか、なんて甘い考えだったんだけど。



いま目の前にあるってことは、礼央が持ってきてくれた、ってことで――…


そっか……

見てなかったメールはバッグ届けるって報告だったんだ。



「ありがと、礼央」

「ん…? あ、あぁ」

「……どうしたのよ」

言葉をつまらせ、話しかけたっていうのに総司さんから目線をそらさない。

不審に思って総司さんを見ても同様に睨みつけたままだった。



あぁ……

また冷や汗が……っ!!!!