愛の手


――…


……えっとぉ。

あたしは居間におろされて、居心地悪く正座中デス。


べつになにも悪いことはしてないよ?

悪いことして反省の正座じゃなくて、重い空気に潰されそうになって、正座になってしまっただけ。



右側には包帯グルグル(っていっても、胴体だけどね)の総司さん。

左側には来客――…ってか礼央が座ってる。



お互い睨みつけるみたいに、ピリピリした空気。

部屋に入ってきたときからこうなんだけどね。



「愛理」

ビクッ

「……はい」

いつもより低く感じる、総司さんの声。

甘くささやくような声も、今日はドスがきいてる低さだ。



あたしは見えない威圧で目線をあわせられずに、冷や汗ダラダラ……

なんだってこんなに怖い空気なのよ、二人とも!!!