愛の手


「つきましたよ、お嬢」

「へっ!? ……はやかったね」

いつもなら放課後ドライブをしてるせいか、ヤクザ屋敷までの距離が短く感じる。

学校からこんな近かったっけ?っていいたくなるくらい、あっというまだった。




大きな門に横づけされた白いゼロクラウン。

出迎えにきた康平さんが、ゆっくりと扉を開けてくれた。



康平さんは帰ってきたばっかみたいで、制服姿だった。

制服からのぞく包帯に、あたしは眉をひそめた。



「おかえりー。顔色よくないけど大丈夫っスか?」

「大丈夫だよ。ちょっとお腹すいただけ」


心配そうにのぞきこまれ、あたしはとっさにウソをついた。





傷、大丈夫?なんて……

聞けないよ。