愛の手


あたしは部屋に入っても、なにもしなかった。

DVDでも見ればいいんだけど、そんな気分じゃない。



小さな二人がけのソファに横になりながら、天井を見上げた。






なんで総司さんの顔ばっか、頭に浮かぶんだろ。






いつもそばにいる祐輔さんじゃなくて、思い浮かぶのは悪魔な若組長の顔。



そばにいればそれでいいといった総司さん。

そばにいてくれるといった、総司さん。





頭の中は……総司さんで埋め尽くされていた。