愛の手


美恵さんが人懐こいおかげで、あたしが同性で唯一話しをよくした人。

「えへへ、学校サボっちゃいまして……」

「不良の仲間入りかぁ?」

笑いながら、とがめることをしない美恵さんは、やっぱり居心地がイイ。



「いま空室ありますか?」

「えっとね、ちょっと待って」

美恵さんはパソコンに向かって、部屋の状況を見た。


「あ、ペアボックスなら一部屋空いてるよ。そこ一人で使えるようにしとくよ」

「本当ですか!? ありがとうございます」


よかった……

あたしにもまだ居場所があった。



「ゆっくりしてってね」

「はいっ」


あたしはしばらく、ここで時間をつぶすことにした。