愛の手


「大丈夫……?」

大丈夫なわけないのに、気づくとそう口にしていた。


総司さんはふっと息をもらした。

「大丈夫だ」

まるで、あたしを慰めてるときみたいに、優しい声。


動くのもツラいはずなのに、総司さんはあたしの頭をゆっくりとなでた。



痛い思いをして、なにをしてんの。

バカじゃないの、ヤクザなんて。



いつもみたいに罵倒する気力は皆無に等しい。

総司さんの優しさに、あたしは視界がゆれた。



「泣くな」

「…ぅっ、ひぅっ」





総司さんの、バカ。