愛の手


「総司さんっっ!!!!!」


玄関まで走ると、そこにはぐったりと横になってる総司さんがいた。

自力で帰ってきたのか、まわりには誰もいない。


口元から血が出てて、顔が少し腫れてる。

手足も動きにくいみたいで、動こうとしなかった。



まるで……

あのときの、あたしみたい。





「総司さん……?」

あたしはそっと、口元の血をぬぐった。

痛かったみたいで、眉がちょっとだけ動いた。





ゆっくりと開けられたマブタ。



「あ、ぃ…り」

あたしの名を呼ぶ声が、かすれて聴こえた。